40代で転職を考え始めると、「転職すると年収が下がるのではないか」という不安を感じやすくなります。
住宅費や教育費など毎月必要な支出がある人にとって年収の変化は生活に直接影響しますし、現在の会社で役職や勤続年数に応じた給与を得ている場合は、転職先でも同じ水準を維持できるのか慎重に判断したいところです。
しかし、40代で転職すれば必ず年収が下がるわけではなく、近年の転職者調査でも40代を含めて転職後に年収が上がるケースは確認されているため、年齢だけを理由に「年収ダウンを受け入れなければ転職できない」と決めつける必要はありません。
一方で、現在の会社で長く勤めることで得ている給与や役職をそのまま転職市場で評価してもらえるとは限らず、異業種や未経験職種への転職、役職を下げる転職、現在より給与水準が低い業界への転職などでは年収が下がる可能性を考えておく必要があります。
40代の転職で年収が下がるケースと維持・上昇するケースの違いを整理しながら、転職前に確認したい最低年収、求人票を見るポイント、経験の棚卸し、年収交渉、内定後の条件確認まで詳しく紹介しますので、年収だけで転職を諦めるのではなく、実際の求人や自分の経験を基準に判断するために役立ててください。
40代の転職で年収は下がるのか
40代の転職で年収が下がるかどうかは一律には決まらず、現在の年収がどのような要素で構成されているのか、転職先でどの経験が評価されるのか、業界や職種を変えるのかによって結果が変わります。
近年の転職者調査では40代の転職自体が珍しいものではなく、転職後に年収が増えた40代も確認されているため、「40代だから年収ダウンは避けられない」という理解は適切ではありません。
ただし、40代になると勤続年数や役職、会社独自の給与制度などによって現在の年収が形成されているケースもあるため、同じ金額を別の会社でも得られるかは市場で求められる経験と照らし合わせる必要があります。
まずは年齢だけで判断せず、どのような転職なら年収が下がりやすく、どのような場合なら維持や上昇を狙えるのかを具体的に整理してみましょう。
必ず下がるわけではない
40代で転職すると年収が必ず下がるという決まりはなく、実際の年収は転職する業界、職種、役割、企業規模、本人の経験や専門性など複数の条件によって決まります。
近年の民間調査でも40代を含めて転職後に年収が増加した人が確認されており、特にこれまで培ってきた経験を転職先が必要としている場合は、現在と同程度またはそれ以上の条件が提示される可能性があります。
一方で、同じ40代でも勤続年数によって給与が上がってきた人と、社外でも需要のある専門性や実績によって高い給与を得ている人では、転職時の年収の動き方が異なります。
- 同業界・同職種への転職
- 専門性を生かす転職
- 管理経験を生かす転職
- 異業種への転職
- 未経験職種への転職
- 役職を変更する転職
そのため「40代の平均的な転職では年収がどうなるか」だけを見るより、自分が検討している求人で、これまでの経験がどの程度求められているかを見ることが重要です。
年齢を理由に最初から希望年収を大幅に下げるのではなく、まず現在の経験で応募できる求人を調べ、実際に提示されている給与水準を確認するところから始めましょう。
近年は40代の転職も増えている
40代の転職について考える際には、「40代で会社を変えること自体が珍しい」という前提を一度外して考える必要があります。
2025年の正社員転職者を対象とした民間の転職動向調査では40代・50代の転職率が上昇しており、ミドル層でも実際に会社を移る人が増えていることが確認されています。
もちろん転職者が増えていることと、自分が希望する年収で転職できることは別の問題ですが、「40代だから応募先がない」と考えて求人を確認しないのは判断材料を減らすことになります。
企業側が求める経験や専門性と自分の経歴が合っている求人であれば、年齢そのものより、これまでどのような仕事を担当し、どのような問題を解決できるのかが重要な判断材料になります。
反対に、自分の社内での評価だけを市場価値だと考えることにも注意が必要であり、転職サイト、企業の採用ページ、公共の求人情報など複数の求人を確認して、自分と近い経験を求める募集の給与帯を調べることが大切です。
現在の年収が何で決まっているかを確認する
転職後の年収を考える前に確認したいのが、現在受け取っている年収がどのような要素で形成されているかという点です。
同じ年収600万円でも、高い専門性に対して支払われている600万円と、長年の勤続や社内資格、管理職手当などを積み上げて到達した600万円では、転職先で再現できる可能性が異なります。
特に一つの会社で長く働いてきた場合は、自分では仕事内容に対する給与だと思っていても、実際には勤続年数や社内での役職が年収へ大きく影響している場合があります。
| 現在の年収要素 | 転職時の確認点 |
|---|---|
| 基本給 | 経験への評価 |
| 役職手当 | 転職後の役割 |
| 賞与 | 支給条件・実績 |
| 残業代 | 労働時間との関係 |
| 各種手当 | 転職先の制度 |
| 勤続による昇給 | 社外での再現性 |
現在の源泉徴収票や給与明細を確認し、基本給、賞与、残業代、役職手当などを分けて見ると、転職先の条件と比較しやすくなります。
単純に現在の年収総額だけを転職先へ求めるのではなく、「何に対して現在の給与を受け取っているのか」を理解することが、現実的な希望年収を考える第一歩です。
未経験転職では下がる可能性を考える
40代で現在とは大きく異なる職種へ転職する場合は、これまでの経験をそのまま評価してもらいにくくなり、結果として年収が下がる可能性を考える必要があります。
例えば営業として長く経験を積んできた人が、経験のない技術職へ移る場合、現在の会社で得ている営業経験や役職が新しい仕事の給与へ直接反映されるとは限りません。
ただし「異業種へ行くこと」と「すべて未経験になること」は同じではなく、業界を変えても同じ営業職を続ける、営業経験を生かして営業企画へ移るなど、経験が重なる転職もあります。
- 同業界・同職種
- 異業界・同職種
- 同業界・異職種
- 隣接する職種
- 完全な未経験分野
年収をできるだけ維持したい場合は、現在の経験と転職先の仕事がどこで重なるのかを確認し、経験を利用できる範囲が大きい求人から検討する方法があります。
未経験の仕事へ挑戦したい場合も、年収が下がる可能性だけで諦めるのではなく、初年度の給与、数年後の昇給可能性、身につく専門性などを含めて判断しましょう。
役職が変わると給与も変わりやすい
現在管理職として働いている40代の場合、転職先で同程度の役職を得られるかどうかは年収に大きく影響する可能性があります。
現在は課長でも、転職先では一般社員やリーダーからスタートする場合、役職手当などがなくなることで総年収が下がることがあります。
反対に、転職先が求めている管理経験と自分の経験が合致し、より大きな責任を担うポジションへ採用されるなら、年収が維持または上昇するケースも考えられます。
ここで重要なのは「課長をしていました」と役職名だけで説明するのではなく、何人の組織を担当し、どのような目標を持ち、育成、評価、予算、業務改善など何を担っていたかを具体化することです。
会社によって課長や部長といった役職の責任範囲は異なるため、肩書きを横に移す発想ではなく、実際に担当してきたマネジメント業務が応募先の役割とどの程度一致しているかを確認しましょう。
会社規模だけでは判断できない
大企業から中小企業へ転職する場合などに年収が変化するケースはありますが、企業規模だけを見て「小さい会社なら必ず給与が下がる」と考えることはできません。
給与水準は業界、企業の収益性、募集する職種、ポジション、必要な専門性などにも左右されるため、企業規模は年収を考える一つの要素にすぎません。
例えば規模の小さな会社でも、新規事業を任せられる人材や特定分野の専門家を採用するために高い給与を設定している場合があります。
| 見る項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 企業規模 | 従業員数・事業規模 |
| 業界 | 給与水準・成長性 |
| 職種 | 求める専門性 |
| 役割 | 責任範囲 |
| 給与 | 基本給・賞与・手当 |
| 制度 | 昇給・退職金など |
求人を見るときは会社の知名度や従業員数だけで候補から外さず、自分に任される役割と提示される条件を確認することが大切です。
特に40代では経験を特定の課題解決に生かしてほしいという採用も考えられるため、「どの会社へ移るか」と同時に「何を任されるために採用されるのか」を確認しましょう。
年収が下がっても手取りだけで判断しない
転職先から現在より低い年収を提示された場合は、差額だけを見て即座に受け入れるか断るかを決めず、働く条件全体を比較する必要があります。
例えば年収は少し下がっても、残業時間や通勤時間が大幅に減る、休日が増える、希望する専門分野の経験を積めるなど、自分が転職で実現したかった条件が改善する場合があります。
反対に年収が上がっていても、固定残業代を含む、賞与の比率が高い、転勤の可能性があるなど、自分にとって負担となる条件が加わっていることもあります。
- 基本給
- 賞与
- 各種手当
- 勤務時間
- 残業
- 休日
- 通勤時間
- 仕事内容
- 役割
- 将来の昇給
年収は重要な判断材料ですが、転職後の生活を決めるのは給与額だけではないため、現在の仕事と転職先を同じ項目で並べて比較することが重要です。
ただし生活に必要な最低収入を下回ってまで仕事内容だけを優先すると家計が苦しくなる可能性があるため、受け入れられる年収の下限は転職活動の早い段階で決めておきましょう。
年収を下げる転職にも目的が必要
転職で年収が下がること自体が失敗とは限りませんが、何のために収入を下げるのか説明できない状態で条件を受け入れることには注意が必要です。
例えば年収を少し下げる代わりに、長時間労働を減らす、転勤をなくす、希望する専門職へ移る、将来性のある経験を積むなど、自分にとって明確な交換条件があるなら合理的な選択になる可能性があります。
一方で「40代だからこの条件でも仕方がない」と年齢だけを理由に低い条件を受け入れると、転職後に仕事内容や待遇への不満が再び生まれることがあります。
年収ダウンを受け入れる場合は、「年間いくらまでなら下げられるか」「その代わり何を得たいか」「何年程度で収入を回復できる可能性があるか」を具体的に考えます。
金額だけでなく転職目的との交換条件として捉えることで、自分にとって納得できる年収ダウンなのか、それとも応募先を探し直すべきなのか判断しやすくなります。
40代の転職で年収が下がりやすい理由
40代の転職で年収が下がるケースを考えるときは、「年齢が高いから」という一つの理由だけで説明するのではなく、現在の給与と転職先で評価される経験の差を見ることが重要です。
特に長く同じ会社で働いている場合、現在の給与には勤続年数、役職、社内で蓄積した信用、会社独自の手当などが含まれている可能性があり、それらが転職先へそのまま移るわけではありません。
また、異業種や未経験職種への挑戦では新しい仕事に必要な経験が不足しているため、現在より低いポジションや給与から始まるケースもあります。
年収ダウンの理由を具体的に理解しておけば、自分の転職でも同じ要因が当てはまるのかを確認し、応募先の選び方や経験の伝え方を調整できます。
社内評価をそのまま持ち出そうとする
同じ会社で長く働いてきた40代ほど注意したいのが、現在の役職や社内評価が転職先でも同じように評価されると考えてしまうことです。
現在の会社では業務知識、人間関係、過去の実績などを長期間かけて評価されていても、採用企業が確認できるのは応募書類や面接で示された経験と実績が中心になります。
そのため「勤続20年で課長だから年収700万円が妥当」と考えるのではなく、その20年間で何を担当し、どのような問題を解決し、どの程度の責任を担ってきたのかへ分解する必要があります。
- 担当してきた業務
- 扱った顧客・商品
- 売上や予算の規模
- 改善した業務
- 専門知識
- マネジメント範囲
- 育成経験
社内でしか通じない役職や評価を、ほかの会社でも理解できる仕事内容へ翻訳できれば、自分の経験を適切に評価してもらいやすくなります。
年収を維持したい人ほど現在の金額を主張する前に、その金額に見合う価値として何を提供できるのかを具体化しましょう。
給与構成の違いを見落とす
求人票に書かれている想定年収だけを現在の年収と比較すると、転職後に「思っていた給与と違った」と感じる可能性があります。
年収500万円と記載されていても、基本給と賞与の割合、固定残業代の有無、各種手当の扱いなどによって毎月の給与や収入の安定性は異なります。
現在の年収に多額の残業代や住宅手当などが含まれている場合は、転職先で同じ制度がなければ総額が下がる可能性もあります。
| 比較項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 基本給 | 月額の固定部分 |
| 賞与 | 算定・支給条件 |
| 残業代 | 固定・別途支給 |
| 役職手当 | 対象となる役割 |
| その他手当 | 支給条件 |
| 昇給 | 制度・評価方法 |
内定を受けた段階では年収総額だけを見るのではなく、労働条件通知書などで賃金の構成を確認し、不明な部分は入社を決める前に質問することが重要です。
転職前後で同じ基準を使って比較すれば、額面上は同じ年収でも実質的な条件が違うケースを見つけやすくなります。
転職を急いで選択肢を狭める
現在の仕事がつらいと、一日でも早く辞めたい気持ちから最初に内定を得た会社へ決めたくなることがありますが、比較対象が少ないほど提示条件が妥当なのか判断しにくくなります。
特に退職して収入がなくなった状態で転職活動をすると、生活費への不安から希望年収を大幅に下げて応募するなど、条件面で焦りが生じることがあります。
在職中に活動できる状況なら、まず求人を調べて応募し、どの程度の条件で選考が進むのかを確かめてから退職を判断する方法があります。
一社だけでなく複数の求人を見ることで、同じ経験を求める会社でも給与帯に違いがあることや、自分が想定していなかった業界で経験を生かせることに気づく場合があります。
転職活動を始めることと現在の会社を辞めることは別なので、年収ダウンが心配な40代ほど、退職を先に決めるのではなく市場の条件を確認してから判断材料を増やしましょう。
40代が年収を維持するための転職準備
年収をできるだけ下げずに転職したい場合は、求人へ大量に応募する前に、自分が転職市場で何を評価してもらえるのかを整理することが重要です。
40代では職歴が長くなりやすいため、経験年数をそのままアピールするのではなく、応募先が必要としている仕事に関連する経験を選び、具体的な役割や成果として説明できる状態にします。
同時に、現在の年収を絶対条件にするのではなく、家計上必要な最低額、できれば維持したい額、仕事内容や働き方が改善するなら許容できる額を分けて考えておくと求人を選びやすくなります。
ここでは年収を維持する可能性を高めるために、転職活動を始める段階で取り組みたい三つの準備を確認します。
経験を市場で通じる言葉に変える
40代の転職では「20年間営業をしてきた」「10年間管理職をしている」と経験年数だけを伝えるより、その期間にどのような業務を担当し、どのような能力を再現できるのかを示すことが重要です。
営業なら顧客層、商材、営業手法、担当エリア、目標、顧客との関係構築、後輩育成などへ分解し、事務なら業務量、使用ツール、社内調整、改善、ミス防止などへ分解できます。
応募先の求人票に書かれている仕事内容や求める経験と照らし合わせれば、自分の経験の中で何を強く伝えるべきかが見えやすくなります。
- 専門知識
- 顧客対応
- 課題解決
- 社内調整
- 業務改善
- 数値管理
- プロジェクト管理
- 人材育成
- マネジメント
数値で示せる成果がある場合は事実の範囲で具体化し、数値化しにくい仕事でも標準化、トラブル対応、育成、品質改善など自分が行った行動を説明できます。
現在の会社でしか分からない言葉を減らし、別の会社でも理解できる経験へ変換することが、年収に見合う価値を伝える準備になります。
希望年収を三段階で決める
希望年収を考えるときに「現在600万円だから600万円以上」と一つの数字だけを決めると、仕事内容や労働時間などほかの条件との比較が難しくなります。
そこで、理想とする年収、できれば維持したい年収、家計上これ以上は下げられない最低年収というように複数のラインを決めておく方法があります。
最低ラインについては感覚だけで決めず、住宅費、食費、教育費、保険、貯蓄など実際の家計を確認し、転職後の収入で生活を続けられるかを計算します。
| ライン | 考え方 |
|---|---|
| 希望 | 目指したい条件 |
| 維持 | 現在と同程度 |
| 許容 | 条件次第で受け入れる |
| 最低 | 生活上必要な水準 |
例えば年収が少し下がっても通勤時間や残業が大きく減るなら許容できる人もいれば、教育費などの事情から現在の年収を維持する必要がある人もいます。
他人の「100万円下がっても転職すべき」といった基準をそのまま使わず、自分の家計と転職目的を基準に許容範囲を決めましょう。
実際の求人で相場を確認する
自分の市場価値を考えるときは、年齢別の平均年収だけで判断せず、自分と近い経験を求めている実際の求人を複数確認することが重要です。
同じ40代でも営業、エンジニア、経理、製造、管理職など職種が違えば給与水準は異なり、同じ職種でも業界や求められる専門性によって条件には幅があります。
求人検索では職種名だけでなく、自分が経験してきた業務、扱ってきた商材、専門知識、管理経験などを条件にして、応募可能な求人の給与帯を確認します。
そのうえで、現在の年収以上の求人が十分あるのか、少し条件を変えれば候補が増えるのか、希望額を大きく下げなければ応募できないのかを見れば、転職前に現実的な判断材料を得られます。
求人票の上限額だけを「自分がもらえる年収」と考えず、経験によって条件が決まる募集では自分がどの位置で評価されそうかを選考を通じて確認することも大切です。
40代が年収ダウンを判断するときのポイント
転職先から現在より低い年収を提示された場合は、「下がったから失敗」「転職できるなら受け入れる」と二択で考えるのではなく、その差額によって何を得られるのかを確認します。
40代では今後働く期間も長いため、初年度の年収だけではなく、仕事内容、専門性、昇給、役割、働き方など数年後につながる条件も重要です。
一方で将来への期待だけを理由に大幅な年収ダウンを受け入れ、現在の家計が成り立たなくなれば転職後の負担が大きくなるため、現実的な収支確認は欠かせません。
年収が下がる内定を受けたときは、現在との比較、下がる理由、代わりに得られる条件という三つの視点から判断してみましょう。
年収以外の改善点を整理する
転職によって年収が下がる場合でも、仕事内容や働き方が自分の希望に近づくなら、総合的には納得できる転職になる可能性があります。
例えば現在より年収が低くても、残業が減る、休日が増える、転勤がなくなる、通勤時間が短くなる、希望する仕事に集中できるなどの改善が考えられます。
ただし「なんとなく働きやすそう」という印象だけで年収ダウンを受け入れず、求人票や面接、労働条件の提示を通じて具体的な違いを確認することが重要です。
- 仕事内容
- 労働時間
- 休日
- 通勤
- 転勤
- 責任範囲
- 専門性
- 将来の役割
- 職場環境
年収が50万円下がるとしても、それによって得られるものに本人が十分な価値を感じる場合と、仕事内容も働き方もほとんど変わらない場合では判断が異なります。
「いくら下がるか」だけではなく「その差額と交換して何を得るのか」を言葉にできるか確認しましょう。
現在と転職先を同じ基準で比較する
転職先を評価するときは魅力的な部分だけを見やすいため、現在の会社と候補企業を同じ項目で並べると冷静に比較できます。
現在の会社についても不満だけを書くのではなく、給与、休日、仕事内容、通勤、福利厚生、将来性など実際に得ているメリットを含めて整理します。
転職先についても提示年収だけでなく、賞与、勤務時間、勤務地、転勤、仕事内容、役割などを確認すれば、年収差だけでは見えない変化を把握できます。
| 比較項目 | 現職 | 転職先 |
|---|---|---|
| 年収 | 現在額 | 提示額 |
| 基本給 | 確認 | 確認 |
| 労働時間 | 実態 | 条件確認 |
| 休日 | 実態 | 条件確認 |
| 仕事内容 | 現在業務 | 予定業務 |
| 役割 | 現在役職 | 採用ポジション |
| 勤務地 | 現在地 | 転勤含め確認 |
現在の会社には慣れているためメリットを見落としやすく、転職先は新しく見えるためメリットを大きく感じやすいという違いも意識して比較しましょう。
同じ物差しで並べることで、年収を下げてでも移る理由があるのか、それとも現在の会社に残るほうが目的に合っているのかを判断しやすくなります。
将来の年収回復を保証だと思わない
年収が下がる転職で注意したいのが、「入社後に成果を出せばすぐ上がるだろう」と根拠なく考え、初年度の条件を軽視することです。
求人や面接で昇給制度について説明を受けても、実際の昇給額は本人の評価や会社の制度、業績などに左右されるため、将来の年収上昇を確定した収入として家計へ組み込むことは避けたほうがよいでしょう。
入社前には評価制度、昇給の仕組み、想定される役割など確認できる情報を集め、そのうえで初年度の提示条件でも生活できるかを判断します。
「将来100万円上がる予定だから現在より100万円低くても問題ない」と考えるのではなく、まず提示された条件そのものを受け入れられるかを基準にします。
将来的な昇給や昇格は転職先の魅力を考える材料にはなりますが、保証されていない将来の給与と現在確定している条件を区別することが大切です。
40代の転職で年収を下げないための進め方
40代で年収をできるだけ維持したいなら、転職活動では「高い求人だけを探す」ことより、自分の経験が高く評価される場所を探すことが重要です。
現在の経験と応募先の仕事が大きく重なるほど入社後の活躍を説明しやすくなり、企業側にとっても経験者を採用する意味が明確になります。
さらに、求人票の給与上限だけで判断せず、選考を通じて役割や期待を確認し、内定時には提示された労働条件を細かく確認する必要があります。
年収交渉だけで条件を大きく変えようとするのではなく、応募先選びから書類、面接、条件確認まで一貫して自分の経験と希望額を結び付けることがポイントです。
経験が重なる求人から探す
年収維持を優先するなら、まず自分の経験をそのまま利用しやすい求人から探す方法が現実的です。
例えば製造業で法人営業をしてきた人なら、同じ業界の営業だけでなく、扱っていた顧客や商材の知識を生かせる別業界の営業なども候補になります。
完全に違う仕事へ移るより、これまでの経験と新しい仕事の重なりが大きいほど、採用企業へ入社後の活躍を具体的に説明しやすくなります。
- 同じ職種
- 近い業界
- 同じ顧客層
- 似た商材
- 共通する専門知識
- 共通する管理経験
- 関連する業務改善経験
「今の業界から離れたい」という希望がある場合も、職種まで同時に完全変更する必要があるのかを考え、営業経験を別業界で生かすなど段階的なキャリア変更も検討できます。
年収と仕事内容の両方を変えたい場合は優先順位を整理し、どの経験を残せば希望条件へ近づきやすいかを考えましょう。
提示年収の中身を確認する
内定時には「年収600万円予定」という数字だけで判断せず、その金額がどのように構成されているのかを確認することが重要です。
基本給が高く賞与の割合が小さい場合と、基本給が低く賞与によって年収が大きく変動する場合では、同じ想定年収でも収入の安定性が異なります。
また固定残業代を含む場合は対象となる時間などを確認し、現在の会社と同じ基準で比較できるようにします。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 基本給 | 毎月の固定額 |
| 賞与 | 算定・支給条件 |
| 固定残業代 | 対象時間など |
| 手当 | 支給条件 |
| 昇給 | 評価制度 |
| 試用期間 | 条件変更の有無 |
| 役職 | 責任範囲 |
口頭で説明された条件と書面の内容に違いがないかも確認し、疑問点があれば入社後ではなく承諾前に問い合わせます。
年収ダウンを防ぐためには交渉力だけでなく、提示された条件を正確に読み取り、現在の給与と同じ基準で比較する力も重要です。
年収交渉は経験と役割を根拠にする
提示された年収が希望より低い場合は、企業側や利用している転職支援サービスを通じて条件について相談できるケースがあります。
ただし「40代なのでこれくらい欲しい」「住宅ローンがあるので上げてほしい」といった個人的事情だけでは、企業が給与を見直す根拠にはなりにくいでしょう。
交渉する場合は、現在の年収、応募先で担当する役割、募集要件に合う経験、専門性など、仕事との関係を基準に希望を伝えることが大切です。
また、希望額を伝えたから必ず条件が変わるわけではないため、提示額が変わらなかった場合に受け入れるのか辞退するのかも事前に考えておきます。
年収交渉を転職活動の最後に突然行うものと考えるのではなく、応募段階から希望年収と自分が提供できる経験を整理し、選考全体を通じて評価につなげることを意識しましょう。
40代の転職は年収だけで決めず納得できる条件を探そう
40代の転職で年収が下がるかどうかは年齢だけでは決まらず、現在の給与構成、業界や職種、転職後の役割、これまでの経験や専門性がどの程度評価されるかによって変わるため、「40代なら年収ダウンは仕方がない」と最初から決める必要はありません。
年収を維持したい場合は、現在の仕事を業務、専門知識、顧客対応、問題解決、業務改善、マネジメントなどへ分解し、応募先でも再現できる経験を明確にしたうえで、その経験を求める求人を探すことが重要です。
一方で異業種や未経験職種への挑戦などでは現在より年収が下がる可能性もあるため、希望年収、できれば維持したい年収、家計上必要な最低年収を整理し、どこまでなら現実的に受け入れられるかを転職活動の早い段階で決めておきましょう。
年収ダウンを提示された場合も金額だけで判断せず、仕事内容、勤務時間、休日、通勤、転勤、責任範囲、身につく経験など現在の会社と転職先を同じ基準で比較し、収入を下げる代わりに自分が何を得られるのかを具体的に確認することが大切です。
40代だからという理由だけで転職を諦めたり希望年収を下げたりせず、在職中から実際の求人を確認して自分の経験に対する給与水準を把握し、応募や面接で得られる情報も材料にしながら、生活に必要な収入と今後のキャリアの両方に納得できる転職先を探していきましょう。


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